以下、読者よりご質問をお送りいただきました。重要なポイントですのでシェアいたします。
ご質問:
先生のご本を手にしスライドに取り組んで一月ほどになります。自分ではスムーズに基本位置を作れるようになったつもりです。口の形や舌の位置の例えが分かりやすく楽しく取り組めています。 さて、実際アメリカ人の口の形が気になりだしてYOUTUBEなどで観察するようになりました。
すると比較的下の歯を見せて話している部分が見受けられることに気づきました。
スライドメソッドの型で、下の歯を見せるケースはないように思いますが、音の組み合わせによって下の歯を見せることもあるということでしょうか。
練習は本に書いてくださっている通りに進めるつもりですが、少し気になりましたもので。 ご回答いただけるようでしたらお願い致します。
回答:
ネイティブスピーカーはスライドメソッドを必要としない、
つまりスライドメソッドの型を意識する必要も実践する必要もありません。 彼らは下の歯を見せても、
つまり下唇を下にぶら下げても、
下唇を下に剥いて下歯を剥き出しても、
全く大丈夫です。
それは、
日本語連動筋が発達していないため、
それが「連動して舌を固めたい誘惑」なく
生きているからです。
(禁煙し始めた人は、
タバコがそばにあると
自動的に手が伸び吸いたくなりますが、
タバコを吸ったことのない人が、
この誘惑を全く感じないのと同じです。)
バイリンガル育ちも同様です。
子供の時に
緩い英語の口感覚を
ナチュラルに覚えた人は、
「それが楽であることを体で知っている」ので
誘惑と戦う必要がありません。
心地の良いゾーンとして
「脳がすでに覚えている」からです。
逆に私たち日本語ネイティブは、
日本語に近いところで話そうとすると
(つまり下唇が下にキュッと固まり、
顎が上がって下歯が見えてくると、)
連動したい、
日本語発音で話したい衝動に
駆られます。
こればかりはどうしようもありません。
軽い持病のようなものと思ってください。
スライドしながら、
筋肉が連動したい衝動を、
ごまかしごまかし、
うまく持病と付き合って生きていく
という感じです。
スライドメソッドは
その「日本人ならではの危険ゾーン」を回避して
短期間に一気に
脳に「楽な英語の口感覚」を覚えさせます。
つまり「脳の再教育」をしているのです。
ちなみに私たち日本人も
矯正が終わって
楽な英語の口感覚をインスタントに作れ
英語を話す間それを維持でき
「それが本当に楽と感じられる」
ところまできたら、
厳密にずっと下の歯を隠す必要は
なくなります。
下歯がチラチラ見えても
問題なくなります。
特に
ハート笛の6音(sやshの音など)の前後は
下歯が見えやすいです。
下歯が見えても
スライドし続ける感覚だけ維持すれば
全く問題ありません。
最後に、 「頰上げ」は
思ったより大げさに
横に広げてやってみてくださいね。
顎ゆるも大げさに。
腹落ちは大抵
「頰上げ」と「顎ゆる」を
想像以上にやり
全てのスライド練習を
完璧に重ねた瞬間に訪れます。
つまり、
連動の引き金となる
5つのポイントを全て
日本語から英語にスイッチするのです。
まとめ
1)ネイティブスピーカーは、下の歯を見せても日本語に使われる筋肉連動が起こらないので、舌が固まらない。つまりスライドメソッドを全く必要としない。
2)日本人は、連動筋が連動し舌を固めたい誘惑を避けるために、矯正中は厳密にスライドして型を整えると最も効果的。
3)日本人でも「脳の再教育」段階を終え、楽にスライドし続けられるようになれば、厳密に下の歯を隠し続ける必要はなくなる。
4)スライドは、スライド練習のページにある5つのポイントが、全て完璧に日本語から英語にスイッチされた時に、突然理解できる。
今日も緩く緩くスライドしながら
頑張ってください^_^ スライドメソッド モリヤマハルカ