top of page
第7回
会話は、聴くことで生まれる
― 声を受け取るということ ―
2026年5月23日
最近、あるアーティストの方が、
こんな話をしてくださいました。
「相手が、自分の次の言葉ばかり考えているのを感じると、
少し寂しくなる」と。
その言葉を聞いたとき、私は少し安心しました。
忙しい現代の会話の中で、
「ちゃんと聴いてほしい」と感じている人は、
きっと少なくないのだと思ったからです。
私たちはつい、会話を止めないように、
素早く返事をしようとします。
相手が話し終わる前に次の言葉を考え、
効率よく会話を進めようとしてしまうこともあります。
けれど、本当の会話は、自分が何を言うかを考えることで生まれるのではありません。
相手の声を受け取ろうとしたとき、初めて言葉は自然に流れ始めます。
英語も同じです。
「間違えないように話さなければ」と力が入ると、
会話はどこか不自然になります。
けれど、相手の声を本当に聴こうとすると、
不思議と自分の言葉もやわらかく前へ出ていきます。
人は、意味だけでなく、その声の中にある呼吸や
安心感までも感じ取っています。
だからこそ英語を学ぶことは、正しく話すことだけではなく、
人の声を本当に聴ける耳を育てることなのかもしれません。

週刊NY生活
2026年5月23日掲載
bottom of page